インドネシアM&Aアドバイザーの役割とは──会社法・投資法・外資規制を横断する実務支援の全体像
M&Aは「買収交渉」ではなく「法務設計プロジェクト」である

インドネシアM&Aにおいて、多くの日本企業が誤解していることがあります。
それは――
「M&Aは価格交渉の問題だ」という認識です。
確かに、買収価格の妥当性、バリュエーション、EBITDA倍率、シナジー効果の算定は重要です。しかし、インドネシアにおけるM&Aは、日本国内の延長線上にある“価格中心型取引”とは本質的に異なります。
実際のインドネシアM&Aは、価格よりも先に
外資規制適合性
公証手続き
行政登録
労働債務
競争法届出
といった法制度対応が成功の鍵を握ります。
価格交渉がいくら巧みに進んでも、法的要件を満たしていなければ、クロージングできない、あるいはクロージング後に重大なリスクが顕在化する可能性があります。
その全体設計を担うのが、M&Aアドバイザーの役割です。
本記事では、インドネシアの法制度を横断しながら、M&Aアドバイザーが果たす具体的な機能を解説します。
1. 外資規制適合性の設計
ポジティブリストと業種制限の確認
インドネシアでは、外国投資は原則として開放されていますが、ポジティブリスト(大統領令第10号/2021号等)により、業種ごとに外資比率制限や条件付き参入が定められています。
買収対象企業が属する業種が
・外資100%可能か
・一定比率制限があるか
・中小企業保護対象業種か
を確認しなければなりません。
ここで重要なのは、「既存企業だから問題ない」という思い込みです。
例えば、ローカル資本で設立された企業を外資が取得する場合、買収後の資本構成がポジティブリストに適合している必要があります。もし適合していなければ、株式再編や事業分割を求められる可能性があります。
M&Aアドバイザーは、
・KBLIコードの確認
・事業実態との整合性検証
・将来の事業拡張を見据えた構造設計
を実施します。
価格交渉よりも前に、取引可能性を法的に検証することが、最初の重要機能です。
2. 公証手続きと会社法対応
会社法(Law No.40 of 2007)に基づく構造設計
インドネシアでは、株式譲渡や合併は公証人(Notaris)関与が法的に必須です。
株式譲渡証書は公証人作成
定款変更は公証人認証
合併契約書も公証人手続き
さらに、法務人権省(MOLHR)への登録が完了しなければ、株主構成変更は正式に対外的効力を持ちません。
日本では契約締結=効力発生という理解が一般的ですが、インドネシアでは行政登録までがプロジェクトの一部です。
M&Aアドバイザーは、
・株主総会決議要件の確認
・優先買取権条項の確認
・譲渡制限株式の有無
・定款整合性
を事前に精査します。
公証人は書類作成の専門家であって、取引構造の設計者ではありません。構造設計はアドバイザーの役割です。
3. 行政登録と許認可承継
MOLHR登録とOSS制度
株式譲渡後は、法務人権省への変更登録が必要です。
さらに、対象企業が取得している
・NIB(事業基本番号)
・標準証明
・業種別営業許可
が適切に承継可能か確認する必要があります。
業種によっては、株主構成変更に伴い許認可再申請が必要となるケースもあります。
行政登録が遅れれば、
・銀行手続き停止
・契約更新不能
・税務番号変更不可
といった実務上の支障が生じます。
M&Aは契約書だけの問題ではありません。行政手続きまで含めた工程管理が不可欠です。
4. 労働債務と退職金リスク
労働法(Law No.13 of 2003)の影響
インドネシアでは、所有者変更や合併に伴い、従業員が退職を選択した場合、法定退職金が発生する可能性があります。
退職金
勤続補償金
補償金
は勤続年数に応じて算出されます。
特に製造業や長年営業している企業では、潜在債務が数億円規模に及ぶこともあります。
財務諸表に明示されていない債務を精査し、
・価格調整条項
・エスクロー設定
・表明保証条項
に反映させることが重要です。
M&Aアドバイザーは労務デューデリジェンスを通じて、潜在債務を可視化します。
5. 競争法(KPPU届出)対応
競争法(Law No.5 of 1999)
一定規模以上のM&Aは、KPPU(競争委員会)への届出義務があります。
売上高・資産額が基準を超える場合、取引完了後30日以内に報告が必要です。
報告を怠れば、行政制裁や罰金の可能性があります。
事後報告制度である点は、日本の事前届出制度と異なります。
M&Aアドバイザーは、
・届出基準該当性判断
・報告スケジュール管理
・必要書類準備
を担当します。
6. 税務設計と移転価格
M&A後のグループ再編では、
・ロイヤルティ
・管理費
・技術料
が移転価格税制の対象となります。
税務設計を事前に行わなければ、クロージング後に追徴課税リスクが生じます。
法務設計は税務設計と一体です。
インドネシアM&Aの法的基盤
まず理解すべき主要法令です。
インドネシアにおけるM&Aは、契約交渉だけで完結する取引ではありません。株式譲渡契約(SPA)を締結し、クロージングを迎えれば終了という日本型の感覚で進めると、重大な法的リスクを見落とす可能性があります。
インドネシアでは、会社法、投資法、競争法、労働法といった複数の法体系が重層的に関与します。加えて、外資規制、KBLI分類、OSS登録、税務、労働債務承継など、実務上の確認事項が極めて多いのが特徴です。
ここでは、インドネシアM&Aの法的基盤となる主要法令を体系的に整理します。
① 会社法(Law No.40 of 2007)
インドネシアM&Aの基本法。
会社法(Law No.40 of 2007 on Limited Liability Companies)は、インドネシアの株式会社(PT)に関する包括法です。M&Aの多くは、PTの株式譲渡、合併、統合、会社分割という形で行われます。
株式譲渡は公証人手続き必須
日本では、株式譲渡契約の締結と株主名簿書換により効力が確定するケースが一般的です。しかし、インドネシアでは公証人による公正証書(Akta Notaris)の作成が必須です。
株式譲渡は単なる私的契約ではなく、会社法上の正式な会社行為として扱われます。そのため、譲渡決議内容は公証人の前で正式に記録されます。
公証人が作成した議事録は、電子システムを通じて法務人権省(Ministry of Law and Human Rights:MOLHR)へ登録されます。
株主総会(RUPS)決議が必要な場合あり
一定の重要行為については、株主総会(RUPS:Rapat Umum Pemegang Saham)の特別決議が必要です。
例えば、
・会社資産の大部分の譲渡
・合併(Merger)
・統合(Consolidation)
・会社分割(Spin-off)
これらは出席株主の一定割合以上の賛成を要します。
また、定款に優先購入権や譲渡制限条項がある場合、既存株主の同意が不可欠です。
法務人権省(MOLHR)登録で効力確定
公証手続きが完了しても、それだけでは対外的効力は確定しません。最終的にMOLHRへの登録が完了して初めて株主変更が法的に有効となります。
日本の私的契約完結型とは大きく異なります。
インドネシアでは、「契約締結=完了」ではなく、「公証+登録=効力確定」という構造です。
この点を理解せずクロージング日程を設定すると、想定外の遅延が発生します。
② 投資法(Law No.25 of 2007)
外資企業(PMA)取得では外資規制確認が不可欠。
投資法(Law No.25 of 2007)は外国投資の基本法です。対象会社が外資法人(PT PMA)の場合、投資法の規制が直接適用されます。
買収後の株主構成が外資規制に適合していなければなりません。
ポジティブリスト制度
従来のネガティブリスト制度は廃止され、現在はポジティブリスト方式です。
原則開放ですが、以下の区分が存在します。
・外資100%可能業種
・条件付き業種
・MSME専用業種
例えば、
・小売業の一部:条件付き外資
・医療分野:出資制限あり
・建設業:資本金区分規制
対象会社の事業内容がどの区分に該当するかの確認が必須です。
KBLIコード確認が必須です。
KBLI(Klasifikasi Baku Lapangan Usaha Indonesia)は、事業活動の分類コードです。対象会社が登録しているKBLIにより、外資可否、出資比率、ライセンス要件が決まります。
デューデリジェンスでは、
・登録KBLI
・実際の事業活動との整合性
・外資規制該当性
を精査する必要があります。
KBLIを誤解したまま買収すると、株主構成の再設計や行政是正が必要となる可能性があります。
③ 競争法(Law No.5 of 1999)
一定規模以上の取引では
KPPU(競争委員会)へ30日以内の届出義務。
競争法(Law No.5 of 1999)は、独占禁止法に相当する法律です。
一定の売上高または資産総額を超えるM&Aは、取引完了後30日以内にKPPUへ届出を行う義務があります。
基準は業種によって異なりますが、大規模取引では必ず確認が必要です。
JETRO資料でも重要論点として明示されています。
特に日系企業の買収事例では、競争法届出が見落とされるケースがあり、行政制裁リスクが指摘されています。
届出を怠った場合、罰金や行政制裁の対象となる可能性があります。
そのため、SPAにはKPPU届出完了を前提条件(Condition Precedent)として規定することが一般的です。
④ 労働法(Law No.13 of 2003)
解雇時退職金:最大32ヶ月分相当
最低賃金:ジャカルタで月500万ルピア超
労務債務は買収価格算定に直結します。
インドネシア労働法は労働者保護色が極めて強い制度です。
M&Aでは、原則として従業員の雇用契約は承継されます。買収後に組織再編を行う場合、退職金支払い義務が発生します。
退職金は勤続年数および解雇理由により算定され、最大32か月分相当となる場合があります。
例えば、
勤続8年以上で基本給9か月分相当の退職金が発生する例もあります。
従業員数が多い企業では、退職金債務が数十億ルピア規模に膨らむ可能性があります。
また、最低賃金(UMR)は州ごとに設定され、ジャカルタ特別州では月500万ルピアを超える水準です。
未払残業代、未加入社会保険(BPJS)、未払ボーナスなども潜在債務となります。
労務債務は買収価格算定に直結します。
そのため、デューデリジェンスでは、
・退職金引当
・未払賃金
・社会保障加入状況
・労使紛争履歴
を徹底的に確認します。
価格調整条項(Price Adjustment)や補償条項(Indemnity)の設計が重要です。
インドネシアM&Aアドバイザーの具体的役割

インドネシアにおけるM&Aは、単なる「買収案件の紹介」や「価格交渉」では完結しません。
外資規制、会社法、競争法、労働法、税務、土地法、行政登録など、複数の制度が同時に絡み合う高度な法務プロジェクトです。
そのため、真に価値のあるM&Aアドバイザーは、案件を“成立させる人”ではなく、“法制度に適合した形で安全に成立させる人”です。
ここでは、インドネシアM&Aアドバイザーが担う具体的役割を実務ベースで解説します。
① スキーム設計(法制度適合性の確認)
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M&Aアドバイザーの最初の役割は、
法制度に適合したスキームを設計することです。
ここを誤ると、その後どれだけ契約交渉がうまく進んでも、最終的に法令違反や事業停止リスクを抱えることになります。
インドネシアでは、業種コード(KBLI)により外資規制や必要許認可が決まります。
そのため、買収対象企業の事業内容とKBLIコードの整合性を確認しなければなりません。
具体的なスキームとしては、
Share Deal(株式譲渡)
Asset Deal(事業譲渡)
段階的出資
合弁設立
などが考えられます。
例えば、外資比率制限がある業種では、100%買収ができない場合があります。その場合、段階的出資スキームやローカルパートナーとの合弁設計が必要になります。
Share Dealの場合は法人格が維持されるため、既存契約や許認可を引き継げるメリットがあります。一方で、過去の未払税金や労務リスクも承継する点に注意が必要です。
Asset Dealの場合は不要資産を切り離せる一方、許認可の再取得が必要になるケースがあります。
KBLIコードの誤認は、事業停止リスクにつながります。
例えば、実態は小売業であるのに、サービス業コードで登録されていた場合、外資参入後に行政から是正指導を受ける可能性があります。
アドバイザーは単に「この会社を買いましょう」と提案するのではなく、
この会社をどのスキームで取得すべきか
どの比率で出資すべきか
どの許認可が必要か
まで設計する必要があります。
② デューデリジェンス設計・統括
Business Lawyersの記事でも強調されている通り、
東南アジアM&AではDDの質が成否を分けます。
インドネシアは法制度が明文化されている一方で、実務運用にばらつきがあるため、形式的な書類確認だけでは不十分です。
重点確認項目:
株主構成実態
OSS登録状況
NIB番号有効性
未払税金
労働紛争
土地権利(HGB:Hak Guna Bangunan)
株主構成は名義上と実態が一致しているかを確認する必要があります。名義貸しや形式的株主が存在する場合、将来的な紛争リスクがあります。
OSS登録状況やNIB番号の有効性も重要です。ライセンスが期限切れ、あるいは業種コードが実態と不一致であるケースもあります。
未払税金や税務申告漏れがある場合、買収後に追徴課税が発生します。
労働紛争履歴も見落とせません。係争中の案件がある場合、買収後に企業イメージや財務に影響します。
土地権利については、HGB(建設利用権)の有効期限や更新可能性を確認する必要があります。土地問題はインドネシアM&Aで頻発する論点です。
単なる「書類確認」では不十分です。
実態ヒアリング、現地視察、第三者確認が不可欠です。
アドバイザーはDDの設計者であり、各専門家(弁護士・会計士・税理士)を統括する司令塔の役割を担います。
③ 契約設計(SPA・SHA)
M&A契約は単なる価格合意文書ではありません。将来リスクをどのように分配するかを定める重要文書です。
SPA(株式譲渡契約)
SHA(株主間契約)
表明保証条項
これらを精緻に設計する必要があります。
インドネシアでは英語+インドネシア語併記が一般的です。
言語間の解釈差異を防ぐため、優先言語条項を明確にします。
特に重要なのが表明保証条項です。
財務情報の正確性
未払債務の不存在
労働紛争の不存在
許認可の有効性
これらをどこまで保証させるかで、将来の損害賠償請求の可否が決まります。
保証範囲が狭すぎれば買主リスクが増大します。広すぎれば売主が合意しません。
アドバイザーは法的妥当性と交渉戦略のバランスを設計します。
④ 公証・行政登録管理
インドネシアでは、
公証人立会い
法務人権省登録
OSS更新
が必須です。
株式譲渡は公証人が議事録を作成し、会社定款変更を登録しなければ効力が確定しません。
登録遅延や形式不備は、効力無効リスクになります。
アドバイザーはこれらのプロセスを管理します。
公証人との日程調整
必要書類の翻訳・公証
株主総会決議書の整備
行政登録完了確認
これらを一つでも漏らせば、銀行口座凍結やライセンス更新停止リスクが生じます。
M&Aは契約締結で終わるのではなく、行政登録完了までがプロジェクトです。
⑤ 統合後(PMI)法務管理
買収後のPMIで重要なのは:
労働契約承継
取締役変更登録
税務番号更新
銀行口座名義変更
M&Aはクロージングで終わりません。
むしろクロージング後の統合作業が成功の可否を決めます。
労働契約承継では、従業員の同意や条件変更の手続きを慎重に行う必要があります。
取締役変更は速やかに法務人権省へ登録しなければなりません。
税務番号(NPWP)や銀行口座情報も更新しないと実務が止まります。
PMI段階での法務管理が不十分だと、事業統合が遅れ、想定シナジーが実現しません。
アドバイザーは「仲介者」ではなく「設計者」
インドネシアM&Aにおいて、アドバイザーは単なる仲介者ではありません。
制度適合性を設計し
リスクを可視化し
契約を構築し
行政手続きを完遂し
統合を管理する
総合プロジェクトマネージャーです。
価格だけでアドバイザーを選ぶことは、将来のリスクを買うことと同義です。
インドネシアM&Aは制度理解の深さが成否を分けます。
適切なアドバイザーの存在こそが、最大のリスクヘッジであり、成功確率を高める最大の要素です。
現地実行体制の重要性
インドネシアM&Aにおいて最も差が出るポイントは、「情報量」ではなく「実行体制」です。法制度を知っていることと、実際に行政手続きを通し、契約を完遂させ、買収後の統合(PMI)まで進められることはまったく別次元の能力です。
特にインドネシアでは、中央政府法令、政令、省令、地方条例が重層的に存在し、さらに実務運用レベルでの差異があるため、机上の法律知識だけでは不十分です。理論を理解していても、実際にOSS登録を更新できなければ意味がありませんし、公証人手続きを完了できなければ株式譲渡は効力を持ちません。
PT Japan Fitness Indonesiaでは、
外資規制チェック
法務DD支援
パートナー候補紹介
契約実行支援
まで一気通貫で支援。
外資規制チェックでは、ポジティブリスト制度に基づく業種区分を確認し、KBLI(事業コード)と外資比率制限の整合性を精査します。買収対象会社が本当に外資取得可能な業種に該当するかを初期段階で明確にします。
法務DD支援では、株主名簿の実態確認、OSS登録状況、NIB番号の有効性、土地保有権(HGB)の確認、税務未払い、労務紛争履歴などを網羅的に調査します。特にインドネシアでは名義株主問題や登記内容と実態の乖離が起こりやすく、形式的な書類確認だけでは不十分です。
パートナー候補紹介は単なる「紹介」にとどまりません。候補企業の財務状況、信用力、ガバナンス体制を確認し、将来的な紛争リスクを低減します。現地企業との合弁や部分出資の場合、株主間契約(SHA)の設計が極めて重要です。
契約実行支援では、SPA(株式譲渡契約)の締結、公証人立会い、法務人権省登録、KPPU届出、銀行口座変更手続きなど、クロージングまでのプロセスを管理します。
参考記事(indonesia-consulting.jp/2025/12/25/a-19/)でも触れられている通り、
単なる紹介型仲介ではなく、実行伴走型支援が重要です。
紹介型仲介は、買収候補を提示し価格交渉までをサポートしますが、法制度への適合確認やクロージング後の実務フォローが不十分なケースがあります。インドネシアのように法制度横断性が高い国では、「最後まで責任を持つ」体制が不可欠です。
M&Aは契約締結がゴールではありません。むしろ、クロージング後に許認可を維持し、従業員を統合し、税務申告を適切に行うことが真のスタートです。
M&Aアドバイザー費用の目安
インドネシアM&Aにおけるアドバイザー費用は、案件規模や複雑性によって大きく異なります。費用構造を理解していないと、想定外のコストが発生します。
一般的な成功報酬型(レーマン方式):
取引額5億円:3~5%
小規模案件:最低報酬あり
レーマン方式では、取引金額に応じて段階的に報酬率が適用されます。例えば5億円規模の案件では3~5%程度が一般的なレンジです。ただし小規模案件では最低成功報酬が設定されることが多く、実質的な負担割合が高くなる場合があります。
法務DD:
50万~300万円
法務DDは、対象会社の契約関係、許認可、株主構成、労務状況、紛争履歴などを調査します。対象会社の規模や事業数により費用は変動します。
財務DD:
100万~500万円
財務DDでは、財務諸表の正確性、簿外債務、未払税金、キャッシュフロー実態などを確認します。特にインドネシアでは会計基準の適用状況や税務調整が重要です。
公証費用:
数十万円規模
インドネシアでは公証人の関与が法的に必要な場合が多く、株式譲渡や定款変更には公証費用が発生します。
さらに、KPPU届出が必要な場合は競争法対応費用、外国人出資変更に伴う投資調整費用なども加算される可能性があります。
重要なのは、「安い仲介会社が良い」のではなく、「リスクを可視化できるアドバイザーが良い」という点です。
まとめ:アドバイザーの本質は「法制度の翻訳者」
インドネシアM&Aアドバイザーの役割は、
✔ 法制度適合設計
✔ リスク可視化
✔ 公証・行政管理
✔ 契約設計
✔ PMI支援
つまり、日本企業とインドネシア法制度の橋渡し役です。
インドネシアM&Aは、
会社法(Law No.40/2007)
投資法(Law No.25/2007)
労働法(Law No.13/2003)
競争法(Law No.5/1999)
を横断する総合法務案件。
一つの法分野だけ理解していても不十分です。会社法上は適法でも、投資法上の外資規制違反となる可能性があります。労働法上の退職金債務を織り込まずに価格交渉を進めれば、買収後に重大な財務リスクとなります。
安全に成長するためには、
価格交渉力ではなく法制度理解力のあるアドバイザー選定が最重要です。
インドネシア市場は確かに成長性の高い市場です。しかし、その成長を安全に享受できるかどうかは、制度を理解し、適合設計を行えるかにかかっています。
法制度を「障害」と見るのではなく、「戦略設計の前提」として活用できる企業こそが、インドネシアM&Aで持続的な成功を実現できるのです。


